フランチャイズでの独立を考えたとき、多くの方が「初期費用はいくら用意すればいいか」で悩むのではないでしょうか。
初期費用は業種によって数百万円から数千万円まで幅があるので、一概に「いくらあれば安心」とは言えません。
そこで本記事では、フランチャイズの初期費用について、業種別の相場や内訳、初期費用を抑えるコツまでを徹底解説します。
「初期費用0円」のからくりや資金調達の具体的な手順まで紹介するので、せひ最後までご覧ください。
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そもそもフランチャイズとは?
フランチャイズとは、個人や法人がフランチャイズ本部と契約を結び、本部のブランド名・商品・経営ノウハウを利用して事業をおこなうビジネスモデルです。
加盟店側は本部が培った成功の仕組みを活用できるため、未経験からでも比較的短期間で事業を軌道に乗せやすいというメリットがあります。
より詳しい仕組みやメリット・デメリットについて知りたい方は、以下の記事でご確認ください。
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フランチャイズ開業で必要な初期費用とは
フランチャイズでの開業に必要な初期費用は、事業の業種や規模、店舗の有無によって大きく変動します。
初期費用は、大きく分けて以下の3種類で構成されます。
フランチャイズ本部に支払う費用
フランチャイズに加盟し、ブランドの使用権や経営ノウハウを得るために本部へ支払う費用です。
主な内訳は以下の通りです。
これらの金額は本部によって大きく異なるため、契約前に内訳をしっかり確認しましょう。
店舗開設のために必要な費用
店舗を構える事業の場合、初期費用の中で最も大きな割合を占めるのがこの費用です。
内訳は以下のようになります。
本部によっては工事業者・設備の購入先として提携業者を指定される場合もありますが、コストを抑えるために相見積もりが可能か確認するといいでしょう。
その他の初期経費
ここまでに紹介した費用以外にも、以下の経費分を用意しておくと安心です。
運転資金の見積もりが甘いと早期の資金ショートにつながるため、余裕を持った計画を立てることをおすすめします。
【業種別】フランチャイズ初期費用の内訳と相場
こちらでは、フランチャイズ開業で代表的な4つの業態について、初期費用と自己資金の目安を紹介します。
小売業(コンビニなど)
コンビニなどの小売業は、本部が土地や店舗を用意するパッケージが多く物件取得費がかからないため、店舗型の中では比較的低資金で開業可能です。
内訳は加盟金、研修費、開業準備費(商品仕入費など)が中心です。
飲食業(カフェ、ラーメン店など)
飲食業は物件取得費や内外装工事費、厨房設備費など必要になるので、初期費用が高額になる可能性があります。
居抜き物件を活用すれば、費用を大幅に抑えられるでしょう。
サービス業(学習塾、リラクゼーションなど)
サービス業(学習塾や美容室・エステ・リラクゼーションなど)は小規模なテナントで開業できるため、飲食業に比べて内外装や設備への投資を抑えやすい傾向にあります。
無店舗型(ハウスクリーニング、買取など)
無店舗型は物件関連の費用がかからないため、低資金での開業が可能です。
「初期費用0円」のプランを用意する本部もあるので、手軽に低リスクで開業したい方におすすめです。
フランチャイズで開業するのに必要な資金の調達方法
資金調達の方法は、大きく「自分で用意する方法」と「外部から調達する方法」の2つに分けられます。
自分で用意する方法
自分で資金を用意できる場合は、返済などを考える必要がないため、リスクを抑えての開業が可能です。
活用できる資金の例は、以下の通りです。
自己資金で開業したいなら、会社員時代から計画的に貯蓄を進めておきましょう。
外部から調達する方法
自己資金の用意が難しい方は、融資や補助金を使って資金を確保しましょう。
活用できる融資などの例は、以下の通りです。
新規開業者にとって最も一般的な選択肢は、政府系金融機関である日本政策金融公庫からの融資です。
開業資金の融資は日本政策金融公庫の融資制度を確認しよう
日本政策金融公庫は、国の政策に基づき、中小企業や小規模事業者の支援をおこなう政府系金融機関です。
民間金融機関に比べて金利が低く、無担保・無保証人で利用できる融資制度も多いことから、多くの起業家に活用されています。
新たに事業を始める方が利用できる代表的な融資制度は、以下の通りです。
- 新規開業資金
- 幅広い創業者を対象とした基本的な融資制度
- 融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
- 新創業融資制度
- 無担保・無保証人で利用できる制度。自己資金要件などがある
- 融資限度額:3,000万円(うち運転資金1,500万円)
- 女性、若者/シニア起業家支援資金
- 女性、35歳未満の若者、55歳以上のシニアを対象とした金利優遇制度。
- 融資限度額:7,200万円(うち運転資金4,800万円)
どの制度が利用できるかは事業計画や自己資金の状況によって異なるので、まずは日本政策金融公庫のWebサイトで詳細を確認するか、窓口に相談しましょう。
参照:日本政策金融公庫 新規開業資金 新創業融資制度 女性、若者/シニア起業家支援資
その他の融資先
日本政策金融公庫のほかにも、資金調達の方法はあります。
銀行や信用金庫など金融機関の融資
銀行や信用金庫など、民間の金融機関からも融資を受けられます。
実績のない創業者への融資はハードルが高いですが、信用保証協会の保証付融資(万一返済不能になった際に信用保証協会が代位弁済してくれる保証)を利用すれば、融資を受けやすくなるでしょう。
ただし、利用者は金融機関への返済とは別に、信用保証協会へ所定の保証料を支払う必要があるので注意が必要です。
ソーシャルレンディングやクラウドファンディングで資金を集める
近年、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を募る方法も広がっています。
ソーシャルレンディングなどの「開業・独立のために資金を借りたい人」と「融資可能な人」をネット上で結びつけるサービスを活用する方法や、クラウドファンディングで支援を募る方法がそれにあたります。
フランチャイズに加盟して事業を始める場合は、これらの利用に制限がかかる場合があるので注意しましょう。
国や自治体の補助金・助成金
補助金・助成金は、国や地方自治体が新規開業や地域活性化を支援するために設けている制度です。
原則として返済が不要な点が最大のメリットですが、ほとんどの制度が「精算払い(後払い)」なので、開業資金に充てるのは難しいと理解しておきましょう。
また、申請手続きが複雑で、受給要件を満たしても必ず採択されるとは限らないため、開業の際は補助金・助成金をあてにしすぎず、堅実な資金計画を立てましょう。
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融資を受ける際の注意点
外部からの融資を受けたいのであれば、最低限の自己資金は用意しておきましょう。
融資審査では、自己資金の額が「事業に対する本気度」や「計画性」を測る指標と見なされます。
とくに日本政策金融公庫の「新創業融資制度」では、創業資金総額の10分の1以上の自己資金があることが要件の一つとされているので注意が必要です。
親族から一時的にお金を借りて自己資金に見せかける「見せ金」は、通帳の履歴から発覚する可能性が高いため、小細工はおこなわず、しっかり自己資金を用意しましょう。
開業資金を抑える4つの方法
こちらでは、初期費用を抑えて開業する具体的な方法を4つ紹介します。
低資金で開業できるフランチャイズを選ぶ
開業資金を抑えたいなら、まずは初期費用が安いフランチャイズを選びましょう。
前述の通り、無店舗型ビジネスや小規模な店舗で運営できるサービス業などは、物件関連費用がかからないため、低資金で開業できます。
自身の興味やスキルと照らし合わせ、低資金で始められる業態から検討するのも一つの戦略です。
「居抜き物件」を活用する
飲食業や美容室など、店舗型のビジネスで効果的なのが「居抜き物件」の活用です。
以前のテナントが使用していた内装や設備をそのまま使えるので、内外装工事費や設備購入費を大幅に削減できます。
ただし、設備の老朽化や、自社のブランドイメージに合わないなどの問題が発生する可能性もあるため、契約前には必ず内見をおこないましょう。
設備は中古品やリースを検討する
事業に必要な設備や什器は、すべて新品で揃える必要はありません。
中古品を専門に扱う業者から購入したり、リース契約を利用したりすることで、初期投資を抑えることができます。
とくに高額な厨房機器や業務用PCなどは、リースを活用することで月々の費用負担を平準化できます。
国や自治体の補助金・助成金を調べる
補助金・助成金は開業資金には充てにくいものの、開業後の設備投資や広告宣伝費、人材採用など、特定の目的に対して活用できる場合があります。
「事業承継・引継ぎ補助金」「小規模事業者持続化補助金」など、自身の事業に合致する制度がないか、中小企業庁の支援サイト「ミラサポplus」などで調べてみましょう。
「初期費用0円!」開業資金が安いフランチャイズの特徴と真相
自宅で開業できる無店舗型ビジネスの界隈では、「初期費用0円」「加盟金なし」を掲げるフランチャイズ本部もあります。
【初期費用0円・加盟金なしを掲げるフランチャイズの例】
- Web関連サービス:ネットショップ運営、Webサイト制作など
- 仲介業:結婚相談所、不動産仲介など
- 訪問サービス:ハウスクリーニング、リペアサービス、訪問マッサージなど
これらの業種は、初期費用を大幅に抑えられるため、初期費用0円や加盟金なしでフランチャイズを提供する本部が存在するのです。
しかし、たとえ加盟金が無料でも、別途「研修費」「システム利用料」などの名目で費用が発生するケースや、月々のロイヤリティが相場より高く設定されている場合があるので注意が必要です。
契約前には、費用の総額だけでなく、サポート内容やロイヤリティの体系まで含めて総合的に判断し、納得した上で加盟を決めるようにしましょう。
よくある質問
Q:フランチャイズの運営に必要な資金について詳しく知りたい
A:初期費用とは別に「運転資金」が必要になります。
運転資金は、売上に関わらず毎月発生する「固定費」と、売上に応じて変動する「変動費」に分けられます。
開業してから数ヶ月は赤字が続くことも想定し、最低でも半年分の運転資金と生活費を準備しておくと安心できるでしょう。

Q:融資を受ける際に必要な書類は何?
A:主に「事業計画書」「本人確認書類」「登記簿謄本(法人の場合)」などが必要です。
その他、見積書や通帳のコピーなど、金融機関によって求められる書類は異なります。
事前に必要書類を確認し、不備のないように準備しましょう。
Q:融資を受けるときのポイントを知りたい
A:以下の点を押さえることで、審査を通過する可能性が高まります。
フランチャイズ本部によっては、融資に関する相談・サポートを提供しているところもあります。
まとめ
たとえフランチャイズを活用しても、開業にはリスクが伴います。
「すべてを本部に丸投げしてしまえばいい」などの考えは失敗につながりやすいため、本記事で紹介した内容は頭に入れたうえで「経営者は自分」という自覚をしっかり持つようにしましょう。
あなたがフランチャイズ開業で、幸せな未来を掴めることを祈っています。
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<文/ちはる>